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その疑問にお答えします! 「通信制高校に入学しても大丈夫?」

少子化の時代なのに学校数が増えている「通信制高校」。「最近よく見かけるけど、実際どうなの……?」と思う方も多いと思います。いったいどんな学校なのか、よくある5つの疑問にお答えしましょう。

増加傾向の「通信制高校」 現在の学校数は?

少子化のあおりを受けて、高等学校(高校)の統廃合が全国で進んでいます。国立・公立・私立の「全日制」「定時制」合わせた学校数は、1990(平成2)年には5,506校でしたが、2013(平成25)年には4,981校とついに5,000校を割り、2017(平成29)年には4,907校となっています。

そうした中、「文部科学統計要覧(平成30年版)」によると、通信制高校の学校数は1992(平成4)年から2017(平成29)年までの間に、学校数は2.5倍以上も増えています。

入学者がいなければ、学校数が増えるはずはありません。このグラフは、通信制高校に対する生徒や保護者のニーズの高まりを表しているとも言えるでしょう。

では、なぜニーズが高まったのでしょうか。以降は通信制高校についての疑問を一つひとつ解消しながら、その魅力に迫っていきます。

Q1:「高卒資格」は取れるの?

もちろん取れます。通信制高校とは「通信制」の課程の高校のこと。平日の昼間に授業を受ける「全日制」や夜間など定められた時間に授業を受ける「定時制」の課程の高校と同じく、「学校教育法」の第一条に定められている「高等学校」の一つです。

「通信教育で『高認(高等学校卒業程度認定試験)』を目指すんだよね?」「『サポート校(通信制サポート校)』と同じでしょ?」といった疑問をお持ちの方はいませんか? それらは大きな誤解です。

「高認」とは、さまざまな事情で高校を卒業できなかった人を対象に行われる「高等学校を卒業した者と同等以上の学力があるかどうかを認定するための試験」のこと。大学などの受験資格が得られる一方、たとえ認定されたとしても進学しなければ、最終学歴は「中卒」のままなのです。

また「サポート校」とは、通信制高校に通う生徒の支援などを目的とする外部の教育機関のことです。法律で定められた「学校」ではないので、言うまでもなく「高卒資格」は取れません。

通信制高校は正真正銘の「高校」。卒業すれば「高卒資格」が得られ、大学・短大・専門学校を受験することも、履歴書に「高校卒業」と書くこともできます。

Q2:どんな種類の学校があるの?

通信制高校にはさまざまな種類があり、以下のような分類がされています。

■独立校か、併置校か
・独立校…通信制の課程のみ設置している高校
・併置校…全日制など他の課程も設置している高校
■狭域通信制高校か、広域通信制高校か
・狭域通信制高校…設置されている都道府県と近隣の都道府県一つから
                                入学可能
・広域通信制高校…設置されている都道府県を含む三つ以上の都道府県から
                                入学可能
■公立校か、私立校か

以前は公立校が多かった通信制高校ですが、平成に入ると状況が変わってきます。公立校数が微増にとどまる一方、私立校はどんどん増えていき、平成14年を過ぎると逆転。2017(平成29)年には公立78校に対して私立は172校と、実に100校近い差となっています。「私立の通信制高校」が、進学先の選択肢の一つになってきたことがうかがえます。

私立校はさらに、「学校法人立」か、「株式会社立」かの二つに分類されます。

「株式会社立」は、あまりなじみがない言葉かもしれません。そもそも学校教育法で私立の学校をつくることが認められているのは、「学校法人」だけなのです。

しかし、「構造改革特別区域法」という規制緩和を推進するための法律が2002(平成14)年に成立。これを受けて、構造改革特別区域では株式会社やNPO法人が学校をつくれるようになりました。ちなみに現在、株式会社立の高校はほとんどが広域通信制高校となっています。

Q3:全日制や定時制の高校とどこが違うの?

最も大きな違いは、単位を修得する仕組みです。

学校に通うことが前提となっている全日制と定時制の場合、学習指導要領では「1単位時間を50分とし、35単位時間の授業を1単位として計算することを標準とする」とされています(※)。1コマ50分の授業を週1回、1年間で35週分受けると1単位取れるというイメージです。例えば、必修科目「数学Ⅰ」の3単位を修得するためには、1コマ50分の授業を週3回×35週分=105回もの授業を1年間で受けなければなりません。
※特に必要がある場合には2単位とすることが可能(「高等学校学習指導要領(平成30年7月告示)」第1章総則第3款1(1))

それに対して通信制は、もともと勤労や家庭の事情などで学校に通うことが困難な人たちにも進学の機会を与えようと設置された課程です。そのため、毎日登校しなくても単位が取れる「自学自習」を基本とする仕組みになっています。具体的には、全日制と定時制にはない「添削指導」と「面接指導」を受けることで単位を修得するという仕組みです。

《全日制・定時制と通信制の違い》
■修業時間
   全日制:3年
   定時制:3年以上
   通信制:3年以上
■卒業に必要な単位数
   全日制:74単位以上
   定時制:74単位以上
   通信制:74単位以上
■1単位時間の標準
   全日制:50分
   定時制:50分
   通信制:50分
■1単位を修得するための標準
   全日制:35単位時間の授業を1単位として計算
   定時制:35単位時間の授業を1単位として計算
   通信制:教科・科目ごとに添削指導の回数と面接指導の単位時間数を定める

「添削指導」とは、学校が指定する「報告課題(レポート)」を提出して添削してもらうこと。「面接指導」とは、直接指導を受けるスクーリングのことを指します。

学習指導要領には、通信制高校で1単位を修得するための「添削指導の回数」と「面接指導の単位時間数」の標準が定められています。

《1単位を修得するための添削指導の回数と面接指導の単位時間数の標準》
※添削指導(回数)/面接指導(時間)
・国語科:3回/1時間
・地理歴史科:3回/1時間
・公民科:3回/1時間
・数学科:3回/1時間
・理科:3回/4時間
・保健体育科の「体育」:1回/5時間
・保健体育科の「保健」:3回/1時間
・芸術科:1回/4時間
・外国語科:1回/4時間
・家庭科:2〜3回/2〜8時間
・情報科:2〜3回/2〜8時間
・専門教育:2〜3回/2〜8時間
出典:「高等学校学習指導要領(平成30年7月告示)」第1章総則第2款

たとえば、通信制で「数学Ⅰ」の3単位を修得するためには、

・添削指導:3回×3単位=9回のレポート提出
・面接指導:1回×3単位=3回のスクーリング出席

を1年間で行うというイメージです(※)。
※レポートの提出期限やスクーリング実施日は学校の定めによります。

全日制・定時制では週3回、年間105回の授業を受けなければ取れない単位が、通信制では全日制・定時制の1週間分に相当する3回のスクーリングに出席すればOK。その代わりレポートを9回提出し、添削指導をしっかり受けなければなりません。

通信制では、ラジオ放送やテレビ放送などのメディアを利用する学習を取り入れると、面接指導の軽減が認められる場合もあります。「自学自習」が基本にあるからこその特例と言えるでしょう。

なお当たり前のことですが、全日制・定時制・通信制のいずれの場合も「試験」はあります。試験は単位の修得を認定するときなどに行われています。

Q4:通信制高校はたくさんあるけど、教育内容は同じなの?

教育内容は学校によって大きく変わります。通信制高校は前述の通り、単位を取るために必要な年間のスクーリング数がかなり少ないことから、柔軟にカリキュラムを組むことができるのです。

例えば公立の通信制高校の多くは、現在でも日曜スクーリングを軸にカリキュラムが構成されています。これは、通信制がもともと平日に学校に来られない勤労学生などのためにつくられたということに由来しています。

スクーリングにはこのほか、平日スクーリングや夜間スクーリング、夏などにまとめて行う集中スクーリングなどがあり、それらを組み合わせることができる学校もあります。

私立の通信制高校は驚くほど多種多様です。メディアを利用する学習を中心にすることで、スクーリング数をさらに少なくしている学校がある一方、全日制や定時制と同じく毎日学校に通う「全日型」「通学型」と呼ばれるスタイルを取り入れている学校もあります。

教育内容もさまざまで、中学校の学習範囲の学び直しに特化している学校、芸術分野のコースが中心となっている学校、午前中に必修科目などの授業を受けて午後は部活を行うというスポーツ専門のコースを設けている学校、空いた時間を利用して専門学校や予備校に通うWスクールを推奨している学校などもあります。

「文系」「理系」といった無味乾燥なコース分けが主流の全日制高校と異なり、いろいろなコースを自由に選ぶことができる学校もあります。そういった学校では、自分の状況や将来の夢、やってみたいことなどに合わせたコースが選べます。私立通信制の大きな魅力の一つがここにあります。

通信制高校はそれぞれが個性豊か。同じようなコース名でも、学校によって教育内容は全く異なります。進路を考えるときには、十分な下調べを行うことが大切です。

Q5:クラーク記念国際高等学校の特色は?

クラーク記念国際高等学校は、通信制高校の学校数が増加傾向を見せ始めた1992(平成4)年に開校。日本で6校目、24年ぶりに認可された広域通信制高校のパイオニアとして、現在の「通信制高校ブーム」を牽引してきました。

クラーク記念国際高校の特色は、全日制・定時制と同様に毎日登校するスタイルの「全日型」を中心としていること。そして、バラエティに富んだコース設定を行っていることです。

在籍生徒数は1万1,000名以上、新入生満足度率98.0%を誇るクラーク記念国際高校は、開校以来「生徒一人ひとりの才能を開花させる教育」を徹底しています。「入学して大丈夫!」と、教職員一同が胸を張って言える学校です。